以前に、「第4次産業革命」について概要をまとめた記事を作成しました。
そこから息つく暇もなく、今回は「第5次産業革命」が声高に提唱され始めました。
この新しい時代の幕開けは、単にテクノロジーの進展にとどまらず、我々の働き方や価値観、さらには産業構造そのものにも影響を及ぼします。
第5次産業革命は、第4次産業革命がもたらした変化の延長線上に位置し、さらなるイノベーションを促進することが期待されています。
本記事では、第5次産業革命の概要について理解し、第4次産業革命から第5次産業革命への移行に伴い、求められる要件や新たな価値観についても確認します。
この記事を通して、第5次産業革命の意味と概要の理解の助けにしていただければ幸いです。
第5次産業革命(インダストリー5.0)とは？
第5次産業革命は、産業の変革を通じて人間中心の社会を目指すものであり、技術やデータの活用が重要なポイントとなります。
提唱した欧州委員会の文面を基に、第5次産業革命とは何か簡単に確認してみましょう。
ここからは筆者が内容をまとめたものになります。
Industry5.0とは(欧州委員会の公開情報の概要)
■生産プロセスの中心に労働者の福祉を置き、新しい技術を活用して、仕事と成長を超えた繁栄を提供しながら、地球の生産限界を尊重
■既存の「Industry 4.0」アプローチを補完し、持続可能で人間中心の回復力のある産業への移行のために研究とイノベーションを活用
■持続可能な生産モデルを支持し、天然資源の使用を効率化する技術をサポートするため、地球に優しい。
■既存のバリューチェーンとエネルギー消費の慣行を見直すことで、Covid-19のような外部ショックに対しても産業がより回復力を持つようになる
参考資料：欧州委員会（European Commission）
https://research-and-innovation.ec.europa.eu/research-area/industrial-research-and-innovation/industry-50_en
上記からもわかるように、基本的には第4次産業革命の方向性を踏襲しつつ、「持続可能」「人間中心」「回復力」という3つのコンセプトが付け加えられた概念と言えそうです。
第5次産業革命の重要性
前項の通り、第5次産業革命では、第4次産業革命から人間の幸福や環境への配慮が重要視されるようになりました。
この革命は、ロボットやIoTなどの先進技術を活用し、生産過程や管理システムの自動化を実現すると同時に、倫理や社会的責任に基づいたビジネスモデルの構築を促進します。
デジタル化が進む中で、企業は新たな技術を導入し、変化に適応することが求められています。こうした背景から、持続可能な社会を実現するための重要な鍵となっています。
第4次産業革命がもたらした変化
第4次産業革命は、自動化やデジタル化を駆使して製造業やサービス業の生産性を大きく向上させました。この影響を受け、より人間中心の観点から社会全体を見直す動きが出てきています。
第5次産業革命で取り入れられるテクノロジーの具体例
第5次産業革命では、引き続きロボティクス、IoT、ビッグデータ解析など、さまざまなテクノロジー活用が想定されています。
例えば、工場の自動化を進めるために協働ロボットが導入され、人間とロボットが共存する新たな生産スタイルなどがあげられます。
また、IoT技術を活用したスマートファクトリーが普及することで、生産工程のリアルタイムモニタリングが可能になり、運用効率の向上が見込まれています。
さらに、データの活用により、消費者のニーズの予測や、製品の品質管理が一層精密化され、企業の競争力向上に寄与するでしょう。
これらのテクノロジーは、持続可能な産業の実現に向けた重要な要素とされています。
第4次産業革命と第5次産業革命における人材要件の変化
第4次産業革命によって、製造業やサービス業において、求められるスキルが大きく変化しました。
特に技術理解やデジタルスキルが重視され、専門的な教育が必要な時代へと突入しています。
しかし、人材要件がさらに進化し、創造性やコミュニケーション能力が重視されるようになりました。
従来の技術者だけでなく、異分野の知識を持つ人材や、チームでの協働を重視する傾向が強まります。
また、倫理や環境意識を備えた人材の育成も重要であり、企業はこうした新たなスキルを持つ人材を積極的に採用し、育成する必要があります。
これにより、企業は持続可能な発展を可能にするでしょう。
第5次産業革命が求める新たな価値観とは
第5次産業革命では、環境や社会に対する新たな価値観が求められています。
これまでの利便性や効率性の追求から、より持続可能な社会の構築が焦点に置かれるようになっています。
企業は自社の成長だけでなく社会全体に対する貢献を意識し、より良い未来を目指した取り組みが求められます。
例えば、環境に優しい製品やサービスの開発、循環型経済の推進といった活動が広まっています。
これにより、企業は社会的責任を果たしつつ、ブランドイメージの向上や顧客との信頼関係の構築が促進されます。
新たな価値観の確立は、企業の競争力を高め、未来に向けた持続可能な発展の鍵となるでしょう。
まとめ
第4次産業革命から10年弱で次の枠組みが提唱される形となりました。
これまでの産業革命とは間隔が短くなっているところからも、時代の変化スピードが劇的に変化していることが伺えます。
今回の第5次産業革命においては第4次産業革命を補強する形での内容となってはいますが、また短いスパンで次世代の概念が提唱されるのではないかと身構えてしまいます。
これらの世界的な動きを見据えつつ、日本国内ではどのような動きが発生し、私たちにどのような影響を与えうるのか、意識を巡らせつつ過ごしていきたいものです。
産業革命に関する国内の動きについても、自身のために後日まとめてみたいと思います。
