50代で仕事をやめたいと思っている方は、実は少なくありません。
今回は「仕事をやめたい」と考えている50代の方向けに、判断材料としてに役立つ情報をまとめました。仕事をやめたいと感じる理由や50代の退職・転職情報もお伝えします。早速見ていきましょう。
50代の人が仕事を辞めたいと思う理由TOP3

厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」を元に、50代の人が仕事をやめたいと理由をまとめました。
50代前半/後半、男女で仕事をやめたい理由の分布に差異があるため分けてお伝えします。
(※「会社都合」「その他」にあたる項目を除きます。)
50代男性のやめたい理由[TOP3]
50~54歳 男性
- 仕事の内容に興味を持てなかった(10.9%)
- 給料等収入が少なかった(9.8%)
- 職場の人間関係が好ましくなかった(6.8%)
55~59歳 男性
- 職場の人間関係が好ましくなかった(12.9%)
- 給料等収入が少なかった(9.8%)
- 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(6.3%)
50代前半では業務内容や給料への不満が理由で転職を決意する人が多いです。
しかし、50代後半になると社内の不和が突如としてTOPとなります。業務の内容というより環境面での理由が主となってきます。
50代女性のやめたい理由[TOP3]
50~54歳 女性
- 職場の人間関係が好ましくなかった(8.9%)
- 能力・個性・資格を生かせなかった(7.5%)
- 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(6.7%)
55~59歳 女性
- 職場の人間関係が好ましくなかった(15.7%)
- 給料等収入が少なかった(10.3%)
- 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(7.8%)
女性の場合、基本的には環境面での理由で転職を決める方が多くなっているようです。しかし、自身の能力を生かしたいために職を変える方が一定数います。
上記に加えて、「退職」を選ぶ方も一定数存在します。
「定年・契約/期間の満了」で退職した50代の割合
■ 50~54歳男性:4.3%
■ 55~59歳男性:6.2%
■ 50~54歳女性:10.1%
■ 55~59歳女性:11.0%
女性はそれぞれ1割の人が退職の道を選んでおります。男性も年齢が上がるにつれて退職を選ぶ方が多くなっています。
50代で仕事をやめたいと思っている理由はさまざま
主に下記のような理由で仕事を辞めたいと思っている方が多くなっているようです。
50代で「仕事やめたい」と思ったときの4つの判断基準

50代で「仕事をやめたい」と思っても、すぐにやめる判断をすることは難しいです。そこで、自身の「今」と「将来」を見通して判断できるように、50代の転職・退職の経験談の投稿内容や転職サイト等でまとめられている情報から、重要な判断基準として5つにまとめましたので紹介します。
①一時的な感情に流されていないか

「今の仕事を変えたい/やめたい」という理由TOP3を先ほどまとめました。そこでは会社環境や待遇に対する不満があげられていたと思います。しかし、その場の感情で会社を辞めるのは得策ではありません。勢いで転職・退職を決めてしまうと、今後の生活の見通しが立ちません。転職先がなかなか決まらなかったり、どのように過ごせばいいか分からないなど…、時間を浪費して後悔するリスクが極めて高まります。
まずは、その理由が一時的な感情であるのか、慢性的に表れてしまったものなのかを判断しましょう。その上でまずは自分から動いて解消するかを見定めてみましょう。内容によっては、自身の性格や行動などが原因となっていることも少なくありません。
負の感情を抱いているときは視野が狭くなりがちです。一度、自身を俯瞰してみることで改善策を見出してみる努力をしてみましょう。その上で、まずは1年耐えられそうか、残り10年前後勤め上げることが出来そうか、短・中期的な視点で将来を見通してみましょう。
それでもやはり、「転職・知職がベストである」判断した場合に限り、以降②~⑤の判断基準に目を通してみてください。
②会社に在籍しつつ改善できないか

ストレスや人間関係、体力の低下を理由に転職・退職を希望している方は、原因となっているものから離れることを模索しましょう。ここでいう「離れる]というのは、物理的に離れることを指しています。
例えば、自身に負担がかかりすぎている業務があれば他の仕事仲間に助けを求めたり担当を変わってもらったりすることを考えましょう。50代となり、ある程度の役職を担っている方であればあるほど心苦しい判断となるかもしれません。しかし、残り少ない社会人生活を全うする気持ちがあるのであれば、真っ先に行うことおすすめします。
他にも、人間関係を苦にしているのであれば配置転換を希望することもできます。これでストレス源となってしまっている人から離れることもできるでしょう。様々な性格・個性を持った人がいることは承知していると思います。苦手な人とうまくやっていこうと無理に思う必要はありません。
体力の限界を感じている方は、休職制度を検討してもよいでしょう。一度仕事から離れて十分な休息を確保し、英気を養うことも大事です。心身ともに疲弊していると判断力も低下しているため、人生の判断を下すには危険な状態です。会社によっては休職期間中も給与の一部を支給するケースも。まずは一度社内情報を確認してみることをお勧めします。元気になってから、改めて今後の人生を考えてみましょう。
このように、転職や退職を行う前にやれる一手は思った以上に存在します。社内制度を確認し、有効に使うことで良い方向に向かう方法を考えることから始めましょう。
③老後の生活費はすでに足りているのか

主に「退職」を考えている場合には、やはり自身の老後について考える必要があります。
退職を選んだ場合、お分かりの通り「安定した収入」がなくなることを意味します。また、無職の期間が発生するため、何かのタイミングで再就職を行わなければならないとなると、その無職期間が足かせとなる可能性があります。社会的信用を損なうこととなるため、その点を理解するべきでしょう。
また、会社が従業員に向けて退職を促す早期退職制度についても理解しておく必要があります。一般的には「早期優遇退職制度」と「希望退職制度」の2種類があるため、簡単に理解しておきましょう。
早期優遇退職制度
従業員が定年前に退職することを希望した場合に、退職金の上乗せや有給休暇の買い上げ、再就職支援サービスなどの優遇措置が設けられる制度です。これは現在勤めている福利厚生として運用されるケースが多く、退職理由としては自身からの希望性となるため「自己都合退職」扱いとなります。
自己都合退職となるため、失業保険の受給が遅れます。手続きから約2ヵ月間は失業保険を受給できないため、その間の生活費は確保しておく必要があります。
※なお、2025年4月よりこの失業保険の受給制限が緩和される予定です。
詳しい内容は厚生労働省発行の情報をご確認ください。
<主な変更点>
・受給制限が約2か月→約1か月に緩和
・職業訓練を受講することで受給制限が解除され、すぐに受給を受けることが出来る
希望退職制度
「会社が」辞める従業員を募るための制度です。一般的には、人員整理やリストラの前段階として活用されるケースが多くなっています。
こちらは「会社都合退職」の扱いとなるため、失業保険の受給制限は受けません。ただし、この制度を受けるには会社との合意が前提となっております。また、基本的には会社側から提示されるものであるため、そのタイミングで会社を辞める準備が整っていない場合は流れてしまう可能性もはらんでいます。
実際に必要な資金を確認しよう
これらの制度を利用して得られる公的手当や退職一時金などを勘案して、以後の生活が持ちそうかを考える必要があります。
55歳でリタイアを選択する際、必要資金として「3,000~5,000万円」と例示しているサイトがほとんどです。
1か月に必要な資金→1年あたりに必要な資金(1か月の資金×12倍+一時出費)→○年あたり…と順番に計算したうえで、自身の今後の生活に必要な資金の目安を計算しておきましょう。家族の有無や退職を1年延ばすだけでも目標金額に大きな違いが出てきます。
今後の人生に大きくかかわる計算となるため、できるだけリアルな数値を算出してみましょう。
④自分の年齢が転職の募集対象となっているか

50代からの転職となると、「そもそも受け入れてくれる先があるのか」と不安に感じる方が圧倒的に多くなります。
若年層での転職とは違い、経験が仕事に直結するポジションの求人が多くなります。新しい業界・職種でチャレンジするということは難しいでしょう。逆に、同じ業界であればこれまで培ってきた豊富な人脈やスキルが生かせる可能性は高くなります。マネジメント能力を買われて転職が出来た体験談も少なくありません。
求人の絶対数も少なくなる傾向にあるため、自身の強みや特徴を見極めつつ、必要とする業界や企業を見つけることが出来るかがカギとなります。
求人を探していく中で、自身の希望するような求人が無いとなると「そもそも転職をするかどうか」を改めて考え直すべきです。転職ではなく、今努めている会社の精度を活用したり、配置転換・異動などで心機一転頑張るという選択肢もあります。
転職ではなく、「もう疲れたから退職したい」などという理由で退職を考えている方は、判断基準②・③を必ず確認してください。
まとめ:今後の人生を大きく変える決断は冷静に

今回、徐々に自身のことを客観的に見ていけるような順番で判断基準紹介してきました。まずは自身の現在を確認し、そこから将来のことを考え、実際問題かなえられそうかという視点で現実を理解する必要があります。
働く期間が長くなりつつある、将来の見通しを立てることを避けられません。ぜひ英気がある状態で自身の今後の人生の判断ができるようにしていきましょう。
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データでも確認しましたが、50代の転職を成功させている方は少なくありません。改めて自身のキャリア・人生を見通して最善の一手を打っていきましょう!