私たちが今、体感している「第4次産業革命」。
それは単なる技術の進歩に留まらず、私たちの生活や仕事のあり方を根本から変えてしまう、ある意味での革命的転換を指します。
IoT（モノのインターネット）やAI（人工知能）、ビッグデータなどの新しい技術が続々と登場し、私たちの社会構造をシフトさせています。
この記事では第4次産業革命について、なぜこれが今の私たちにとって重要なのかを考えていきます。
そして、私たちはどのように備え、適応していくべきか、一緒に考えていきましょう。
未来に向けた道筋を描くためのヒントや実例を通じて、次のステップを見つける手助けができればと思います。
第4次産業革命(インダストリー4.0)とは？
第4次産業革命の定義と背景
2016年1月に開催された、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会（通称「ダボス会議」）の主要テーマとして「第4次産業革命の理解（Mastering the Fourth Industrial Revolution）」が取り上げられ、その定義をはじめ議論が行われました。
産業革命は歴史的にも数回起きていますが、第4次産業革命は特にデジタル技術やIoT（モノのインターネット）などの技術革新が主な内容です。
情報を「データ」として活用し経済や社会に大きな変化をもたらしています。
第4次産業革命の特徴
第4次産業革命の大きな特徴は、その技術の急速な発展にあります。
特に、IoTやロボット技術、ビッグデータ、そして人工知能（AI）が重要な役割を果たしています。
下記に、内閣府が発行した「日本経済2016-2017」から抜粋した第4次産業革命の定義を記載します。
第4次産業革命とは、18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化である第1次産業革命、20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産である第2次産業革命、1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化である第3次産業革命に続く、次のようないくつかのコアとなる技術革新を指す
一つ目はIoT及びビッグデータである。
工場の機械の稼働状況から、交通、気象、個人の健康状況まで様々な情報がデータ化され、それらをネットワークでつなげてまとめ、これを解析・利用することで、新たな付加価値が生まれている。
二つ目はAIである。
人間がコンピューターに対してあらかじめ分析上注目すべき要素を全て与えなくとも、コンピューター自らが学習し、一定の判断を行うことが可能となっている。
加えて、従来のロボット技術も、更に複雑な作業が可能となっているほか、3Dプリンターの発展により、省スペースで複雑な工作物の製造も可能となっている。こうした技術革新により、
①大量生産・画一的サービス提供から個々にカスタマイズされた生産・サービスの提供、
②既に存在している資源・資産の効率的な活用、
③AIやロボットによる、従来人間によって行われていた労働の補助・代替などが可能となる。企業などの生産者側からみれば、これまでの財・サービスの生産・提供の在り方が大きく変化し、生産の効率性が飛躍的に向上する可能性があるほか、消費者側からみれば、既存の財・サービスを今までよりも低価格で好きな時に適量購入できるだけでなく、潜在的に欲していた新しい財・サービスをも享受できることが期待される。
(参考)内閣府 日本経済2016－2017 第2章 新たな産業変化への対応（第1節）https://www5.cao.go.jp/keizai3/2016/0117nk/n16_2_1.html
※改行や体裁は著者が調整しました。
これらの技術は、産業の効率を向上させるだけでなく、商品の生産からサービスの提供、さらには生活の質の改善に至るまで、幅広い分野に影響を及ぼしています。
「インダストリー4.0」と「第4次産業革命」
第4次産業革命とほぼ同じ意味で「インダストリー4.0(industry4.0)」と呼称される概念もありますが、こちらはドイツ工学アカデミーと連邦教育科学省が2011年に発表した産業政策の名称です。
なお、「第4次産業革命」と考え方としてはほぼ同じであり、直訳しても「第4次産業革命」となるため、現在はこれらの言葉を同じ意味合いで使用されている場合がほとんどですが、先に名称として初出となったのは「インダストリー4.0」ということになります。
厳密には上記のように初出や内容に違いがあるため、話題になった場合やニュースなどで用語を見かけた際には、「第4次産業革命」や「インダストリー4.0」がどのような意味合いで使用されているかを念のため確認するのがよいでしょう。
第4次産業革命における影響
第4次産業革命がなくなる仕事の種類とは
第4次産業革命によって影響を受ける職業の中には、特に単純作業やルーチンワークが多い仕事が多くあげられます。
これらの仕事はロボットや自動化技術により効率化されやすく、これにより職員の雇用が減少することが懸念されてきました。
そのため、関連業務や他業務についての新たなスキルが求められるようになり、労働市場がより大きく変化することが必然となるでしょう。
第4次産業革命の影響による職業の変化
産業革命に伴い、職業そのものも大きく変わることが予想されています。
デジタル技術やデータに基づく新しい仕事が生まれる一方で、従来の仕事の役割が変わってきています。
例えば、従来の販売職ではなくデジタルマーケティングの専門家やデータアナリストの需要が高まるでしょう。
このように、単に職業がなくなるのではなく、スキルと役割が進化しその変化に適応することが求められる時代が来ています。
第4次産業革命がもたらす経済的な影響
第4次産業革命は経済にも大きな影響を与えています。例えば、企業は効率化やコスト削減を図ることで利益を最大化しようとしていますが、その過程で新たなビジネスモデルも生まれています。また、技術革新によりサービスの質が向上し、顧客満足度の向上に寄与しています。しかし、これには格差の拡大という課題も伴い、特に旧来の産業に依存していた地域や業界にとっては、大きな影響が出る可能性があります。
私たちの生活を変える産業革命に備える方法
必要なスキルと人材育成の重要性について
第4次産業革命において求められるスキルは多岐にわたります。
技術中心の社会では、デジタル技術やデータ解析能力が重要視されます。
そのため、企業は人材育成に力を入れ、自社の社員に求められるスキルを身につけさせる必要があります。
あわせて、地域や教育機関とも連携し、社会全体として人材の育成を進めることが大事です。
その結果、経済成長をサポートする人材が育成され、持続可能な発展につながるでしょう。
デジタルリテラシー向上のための取り組み
デジタルリテラシーの向上は、第4次産業革命において極めて重要な要素です。
新しい技術が日々更新されていく中で、私たちもそれに適応する必要があります。
企業や教育機関が中心となってデジタルリテラシー向上のためのワークショップや研修を提供することが求められています。
さらに、個人の側でも積極的にオンラインコースを受けたり、自宅で学習を進めたりする努力が必要です。
これにより、より多くの人々が新しい技術に精通し、社会全体の競争力向上につながるでしょう。
第4次産業革命における教育改革の進展
教育改革もまた、第4次産業革命における重要なテーマです。
従来の教育システムでは、特に創造力や問題解決能力が十分に育成されていないとされています。
そのため、教育現場ではアクティブラーニングやプロジェクトベースの学習が取り入れられるようになり、より実践的なスキルの習得が促進されています。
学校だけではなく、職場でも継続的な学習が重要視され、この変革が進んでいるのです。
その結果、次世代の人材が新しい産業で活躍できるようになるでしょう。
クリエイティビティとコミュニケーションの重要性
技術革新が進む中でも、人にしかできないことが重要視されています。
それはクリエイティビティとコミュニケーション能力です。
産業が進化するにつれて、単純な作業よりも創造的な解決策を生み出す能力が評価されるようになっています。
また、職場環境ではチームワークやコミュニケーションが不可欠であり、これにより新たなアイデアやイノベーションが生まれる可能性が高まります。
私たちがこの視点を持つことで、産業革命の波を乗り越えやすくなるでしょう。
継続的な学習体制の構築の必要性
第4次産業革命の中では、継続的な学習が不可欠です。
技術の進化は止まることが無く、私たちもその流れに乗り続けるためには常に新しい知識を学び続ける必要があります。
企業は社内研修や外部の教育プログラムを活用して、社員がスキルアップできる環境を整えることが不可欠です。
また個人においても、自己啓発に投資し、変化に対応できる人材になれるよう努めることが大切です。
このような努力が、今後の社会や経済を支える原動力となることは間違いありません。
現在ではリカレント教育やリスキリングなど、国が支援を実施しているいわゆる「学び直し」の機会が多くなっています。
これらの機会を活用し自身の成長につなげていくことで、これらの変化に対応できる人材に一歩近づくことでしょう。
リスキリングの概要については下記の記事で紹介しています。
まとめ
デジタル化が進む現在の社会は急速に変化しています。
携帯電話の変化からもその変化の速さを体感できるでしょう。
この変化の速さにどれだけ食らいついていけるかが、自身の仕事でより高みに向かうためのキーポイントになっていくことでしょう。
今回は「第4次産業革命」を紹介しましたが、実はすでに「第5次産業革命」という概念も提唱され始めています。
そちらも後日まとめていきますので、ぜひご覧ください。
