2025年1月14日、エン・ジャパン株式会社が運営する若手ハイキャリア向けスカウト転職『AMBI』上で、 39歳以下のユーザー929名を対象に「入社後ギャップ」についてアンケートを実施した結果が公表された。
今回はこのアンケート結果をナナメ読みしながら、「入社後ギャップは本当に対策できないのか」という点について、自身の受け止めをまとめた。
なお、今回のギャップは「想定より悪かった」方面でのギャップについて記載する。
アンケート結果の概要
入社前後でギャップを感じた割合

入社前後でギャップを感じたことがない人が割合として1割強いることが分かる。今回のアンケート対象は929人を対象にしているため、120人前後はギャップを感じずに転職を達成していることになる。
「想定より悪かった」と感じたギャップ

性別によって差が開く・順位の前後が発生する項目が複数あるが、業務に関わる項目に対してギャップを感じている人が多いと感じる。勤務時間・休暇、仕事量などは女性の方がギャップを感じる割合が極端に高くなっていることがよく分かる。おそらくはライフステージとして出産・育児があるためだろう。
事前にギャップを防げたと思うか

今回のコラムに直結する内容で、「入社後ギャップが未然に防げたのか」という質問に対する回答結果も公開されている。見ての通り、「未然には防げない」と少しでも思っている人が「56%」もいることが分かった。
若手ハイキャリア向け転職サービスである「AMBI」を使用しているユーザーのアンケート結果なので、全体的な傾向とはまた異なる結果ではあると思う。しかし、ハイキャリア転職をかなえた人でさえ、半数以上がギャップを埋めることができないと感じているという事実がポイントだ。
「入社後ギャップ」考
まず、転職における「ギャップ」は大きく2つに分けられる。
それぞれ分けて考えてみたい。
転職前から知り得ていた情報とのギャップ
「転職前から知り得ていた情報」というのは、自分から知りたいと思い収集していたものが大半だろう。同時に、転職を判断するときの軸としている内容も入ってくるため、積極的に情報を集めているものであることが多い。
これらの情報は、できるだけ確度が高い状態で集めたいはず。よって、求人情報や口コミをはじめとした情報はもちろん、転職エージェントを利用している人であれば担当してくださるコンサルタントからも情報を仕入れてくるだろう。
上記のようにして得た「転職前から知り得ていた情報」と、転職後の環境にギャップを感じてしまった場合、言うまでもなく大ダメージを負うだろう。自分の中で転職軸として積極的に収集してきた情報なのに、結果が合致しない、伴わない状態だったのだから。
このような場合、自身の感情としてはマイナスからのスタートとなるため、ギャップを埋めるような動きは苦痛を伴うことも少なくない。理想とかけ離れた現状に、前職の時と比較してしまったり、愚痴をこぼしてしまったりと短絡的な行動につながりかねない。
このようなギャップはできるだけ転職前に埋めておきたい。
転職前はあまり意識しておらず、入社後に感じたギャップ
こちらは、「転職前から知り得ていた情報とのギャップ」とは違い、特に転職の軸として考えていなかった、もしくは意識の外にあった事柄に対してのギャップだ。転職後、業務をこなしていく中で感じる「な~んか違うんだよなぁ」といった違和感のことを指す。
この場合、ギャップを感じる対象としては下記のようなものが考えられる。
主に企業文化やコミュニケーション、ワークライフバランスなどについて感じやすい。前職で使用していたツールと違って使いづらい、といったものもギャップとなり得る。こちらのギャップは、感情として長く放置していると後々尾を引くものになりがちである。
じわじわとマイナス方向に進んでいきがちなものなので、早めのうちに自分なりの解法・思考方法を見つけることで大きな溝になる前に解消する可能性が高い。
「入社後ギャップ」はどうにもできないのか
では、このような「入社後ギャップ」はどうすべきなのか。
結論は簡単で、「そもそもギャップは生まれるものだ」と腹をくくることである。
ギャップが全くない転職というのは存在しない。今回参照したアンケートでは13%の方々が「ギャップを感じた経験がない」と回答しているが、転職したばかりでは気づかないギャップもあることを覚えておくべきだろう。
また、このような「入社後ギャップ」に対する具体的な対処法として思ったことをいくつか挙げたい。
期待値の再調整
まず、自分が持っていた期待と現実との差異を認識することが重要になる。そのうえで、無理に現実を変えようとするのではなく、自分の期待を現実に合わせることが大事になる。
コミュニケーションを深める
転職後は兎にも角にも関係値を築くことが大切になる。転職先で長く頑張ろうとする気持ちがあるのであれば、表現は悪いがはけ口が必要だ。自分の感じているギャップについて話すことで気持ちも落ち着く上に、意外な解決策が見つかることもあるだろう。
未体験を楽しみ、学習と成長の機会と捉える
上でも書いたが、ギャップを感じる状況をネガティブに捉えるのではなく、新しいことを学び成長する機会と捉えたい。自分のスキルや知識を広げるチャンスと考え「楽しむ」ことが、ポジティブな変化をもたらすと信じている。
「入社後ギャップ」はどうにもできない。だから…
結論、「入社後ギャップ」はどうにもできない。転職をすると必ず発生するものとして腹をくくるべきだ。転職は新しい挑戦であり、必ずしもスムーズに進むわけではないが、それが自己成長の一環であることを忘れずに進んでいきたい。
最終的に、ギャップを受け入れつつ、自分自身がどう成長し、どのように適応していくかということを楽しみたい。
■今回引用・参照したデータについて
20代・30代のビジネスパーソン900人に聞いた「入社後ギャップ」調査ー『AMBI』ユーザーアンケートー
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/38619.html